世の中のほとんどの物品は、包装を施されて流通しています。
包装とは、「物品の輸送、保管、取引、使用などに当たって、その価値及び状態を維持するための適切な材料、容器、それらに物品を収納する作業並びにそれらを施す技術又は施した状態。(JIS Z 0108)」と定義されています。
また、包装には個装、内装、外装の3種類があり、さらに輸送、保管を目的とした梱包と呼ばれる工業包装(輸送包装)と、販売を目的とした商業包装があります。そこで今回は、工業包装に着目して説明していきます。
包装設計とは、製品の流通過程を最適化するために、製品の形状や特性に応じた包装形状、仕様を設計することです。
物流過程において、製品を壊さず輸送、保管するためには適切な包装が欠かせません。荷扱い時の衝撃や温度、湿度などの環境条件による影響など、あらゆる外的要因から製品を保護しなければならないのです。
包装を施す最大の目的は製品の保護ですが、コスト削減や環境配慮など包装設計の際に重視される項目は様々であるため、製品一つ一つに適切な設計をします。
工業包装は、製品の保護性を最重視しなおかつ物流での利便性を最優先します。製品の形状やサイズは様々で、規格サイズの段ボールでは包装できない場合があります。そのため特性に応じて包装設計を行うする必要があるのです。適正な包装設計を行うことで、物流過程で受ける外力から製品を保護し、破損を生じにくくします。
また、外部の衝撃や温度、湿度から製品を保護するために評価試験を行い、合格基準を満たすまで設計から試験を繰り返します。これにより納品先満足度の向上にも繋がります。
包装質量や寸法が適正でないと、荷姿に余分な空間が生まれてしまいます。包装質量や寸法が適正であれば荷姿にムダな容積がなく、輸送時に積み込める数を増やすことが可能になり、輸送コストの削減に繋がります。作業効率をアップするためには利便性を意識した設計をし、輸送効率の向上に貢献します。
また、製品の包装箱とパレットなどのユニットロードサイズを適合させることで、ユニットロードに占める空間効率を高めることができます。利便性を意識した設計をすることで輸送効率の向上に貢献します。
SDGs(持続可能な開発目標)では、限りがある資源に責任を持ち自然と共存して地球環境を守ることが求められています。
包装設計でも回収、再生、再利用のしやすい資材への見直しや、使用する資源の量を削減、廃棄を前提としない再生可能な資源を使用するなど、環境への配慮を意識した取り組みを行います。エアー緩衝材を繰り返し使用できる緩衝材へ変更したり、包装機能を維持しながら環境負荷の低減を実現する設計で、廃棄物処理のコスト削減も実現できます。
多くの場合、小ロットからの設計が可能です。必要な時に必要な量だけを注文できるので、過剰な在庫を抱えずに済みます。余分に用意した包装材を長期保管するしておく場合は保管場所の確保が必要になり、経年劣化による品質への影響が懸念されます。
製品を包装したあと輸送、保管、開梱などの作業が行われるわけですが、包装設計を行うことで各物流工程の効率性を配慮することができます。包装箱の開けやすさ、廃棄のしやすさ、作業スペースを取らない仕様など様々な要素を取り入れて設計を行います。
製品が輸送、保管の際に壊れることなく保護されることは包装の役割として最も重要です。耐水及び耐湿性、耐錆性、危険性などを考慮します。
製品の運びやすさ、箱からの取り出しやすさなどの利便性を意識して設計します。また、使用後の包装材の廃棄のしやすさも利便性に含まれます。
リサイクル可能な資材の使用で廃棄物処理コストを削減し、包装の形状や構造を簡素化することで作業工程でのコスト削減も実現可能です。
製品の特性や輸送条件を考慮し、包装改善に取り組むプロセスです。包装に関する法規制や規格にも適合する必要があります。
専門知識を持った経験豊富な設計士が、お客様のニーズや製品の形状を確認したうえで最適な包装設計を提案します。
製品の特性は様々ですので、打ち合わせでは詳細なヒアリングとスケジュールの確認を行います。減容・減量化、規格・共通化、輸送コスト削減、作業効率の最適化、リーズナブルなコスト、環境配慮設計など、お客様の要望に応じてコンサルティングをします。
ヒアリングの内容と豊富な実績やデータを基に、2D CAD及び3D CADを使用し迅速に包装設計を行います。
CADデータをサンプルカッターに転送・出力し、試作品の作製を行います。当社では、大型2軸サンプルカッターを保有しています。設計、試作どちらも社内で行っているので、設計したデータはすぐに試作品として具現化し、お客様に提案することができます。
流通過程で影響を及ぼす物理的要因、化学的要因、人為的要因、生物的要因から製品を保護するために、落下試験、振動試験、圧縮試験などを行います。お客様に合わせた合格基準を設定し、試験が不合格だった場合でも熟練のノウハウで解決に繋げることができるよう、合格まで②~④の手順を繰り返し行います。
設計されたデータはCAD出力によりお客様に確認していただけます。必要に応じた納入仕様書の作成も対応します。
完成した合格品は、ご指定の場所へお届けします。当社の場合、協力会社を通じてお届けすることもあります。
社内で設計できるのか、企業に委託した方が人件費や素材費などが安いかどうかの検討が必要です。
社内で設計を行う場合は、限られたリソースのなかで時間やコストを削る必要があります。設計や試作を繰り返し行うことが予測されるため、現状のリソースでは足りない可能性があります。一方、企業に委託する場合は、自社の社員の時間が取られることはありません。設計費などはかかりますが、包装専門の設計士が手掛けるサービスが提供されます。その結果、資材コスト削減や図面、RoHS指令の管理など、社内での管理も容易になります。
製品の特性によって納品までの期間は異なります。オーダーメイドでミリ単位の設計をするので、小型精密機器などの場合は適正な包装設計が完成するまでに時間を要します。また、製作可能な最小ロット数はサービスによって異なるため、いくつから可能なのか確認しましょう。
取引先によって対応している製品、サイズが異なりますので、事前に調査をする必要があります。
経験豊富な包装専士、包装管理士の資格保有者が包装設計を行うことで、提案力と品質の向上に繋がります。
お客様からできるだけ距離の近い協力会社へ製造を委託することで、輸送コストの削減が可能です。
製品を輸送する際は、輸送時の衝撃や外部環境から保護するための適正な包装が必要です。
小型精密機器、医療機器など取扱製品が多岐にわたるため、それぞれお客様の要望に応えるべく、高い技術を持った包装設計の技師たちが様々なオリジナル設計で物流改善に繋がる提案をします。
また、当社は国内外一貫輸送サービスの実績があるため、包装設計から現地輸送まですべてお任せいただけます。
大型2軸サンプルカッターを保有しているので、最小ロット数は1から作製可能です。また、サンプル品での検証も可能ですので、設計変更は柔軟に対応できます。必要な分だけの作製でコストダウンに寄与します。
専門分野の経験実績と知識を兼ね備えた設計士が在籍。潜在的なニーズを見出し、お客様の課題解決に向けた包装設計ソリューションを提供していきます。取り扱いがデリケートな製品や高価で形状が独特な製品でも、蓄積されたノウハウを活かしベストなコンサルティングを行います。
手のひらサイズから50トンの大型サイズまで、豊富な実績と信頼と共にサンリツのソリューションを提供します。また、包装だけではなく、包装から輸送まで日本全国概ねご指定の場所へお届けすることが可能です。
可能です。包装設計では製品の形状やサイズに合った包装をご提案します。詳しくはこちらをご覧ください。
ダンボールやプラスチックダンボール、緩衝材、発泡材など様々で、製品の特性やお客様の要望に合った資材を使用します。
製品の性質や市場の要求によって異なります。一部の製品では、包装設計は短期間で変更されることがありますが、他の製品では長期間にわたって使用されることもあります。