
いつもの作業に「小さな不安」はありませんか?
製造現場では、毎日当たり前のように行っている作業の中に、
「少し扱いづらいけれど、慣れているから仕方ない」
「気をつけていれば問題は起きていない」
そんな見過ごされがちな不安が潜んでいませんか?
今回は、ヒアリングを通じて現場の潜在的な課題を引き出し、使う人の立場から考えて見直した事例をご紹介します。
改善前の状況とご相談のきっかけ
今回ご相談いただいたのは、制御基盤を製造されている企業様です。
製品は、本体と金属パーツから構成され、それらを通い箱に入れ、トラックに載せて塗装工場と組立工場間を往復していました。通い箱は、作業者が手持ちでトラックまで運搬します。
お客様から最初にいただいたご要望は、「長年使って劣化してきた通い箱を、同じ仕様で新調したい」
というものでした。一見すると、特に問題のないよくあるご相談です。
しかし当社の包装設計チームは、同じ仕様で作る前に、ヒアリング内容を深掘りし、現場での運用を確認することにしました。
ヒアリングで見えてきた潜在課題
実際に通い箱の使われ方を確認し、現場の方々にお話を伺うと、当初のご要望からは見えてこなかった課題が少しずつ浮かび上がってきました。
・簡易的な仕切り板は製品サイズに合っておらず、箱の中で製品が安定しないため、ガタガタ動いていた
・金属パーツは1つのスペースに2本まとめて収納されており、パーツ同士の接触による塗装剥がれのリスクがあった
・収納スペースのサイズが統一されておらず、製品が何個入っているか、目視で認識するのが難しかった
・現場の方々から「製品が箱の中で大きく動かないように気を遣って運搬している」との声があった
サンリツからの一歩踏み込んだ改善提案
当社はこれらの課題を踏まえ、同じ仕様で新調するのではなく、品質・作業性を重視した内装材の新規提案を行いました。
ポイント①
仕切り板を製品サイズに合わせるとともに、内装材に「爪」を立て、10mmの緩衝距離を確保しました。
これにより、運搬時の衝撃を内装材で緩和し、製品へのダメージを軽減します。
ポイント②
金属パーツを1本ずつ分けて収納できるように専用スペースを設け、パーツ同士の接触を避けます。
ポイント③
作業者の数量確認ミスや入れ忘れを防ぐために、数量が一目でわかるような設計にしました。
ポイント④
手持ち運搬を考慮し、トラックまでの持ち運び回数を減らすために、箱の入り数を10個から15個に増やしました。箱の入り数増にあたっては、現場には多様な方々が働いているため、現場作業者が無理なく持てる重量となるよう配慮した上で設計しました。
改善後の変化
改善後の通い箱は、品質面だけでなく、作業効率の面でも大きな改善効果をもたらしました。
品質の改善効果
・運搬時の揺れによる破損リスクと、接触による塗装剥がれのリスク低減
→過剰に気遣うことなく運搬が可能に
作業効率の改善効果
・製品が整然と並ぶことで、一目で数量がわかり、確認時間が短縮
製品の出し入れがしやすくなり、作業時間が短縮
→確認ミスや入れ忘れの不安がなくなり、作業者の負担軽減
・入り数を増やしたことで、トラックまでの運搬回数の削減
その結果、製品破損リスクの低減に加え、全体工数も約50%削減することができました。
「通い箱」ではなく「現場」を見ています
本事例は、通い箱を同じ仕様で更新する予定でしたが、現場ヒアリングを通じて、気づいていなかった潜在課題が明らかになり、現場全体の安心と生産性の向上を実現しました。
自動化や設備投資には大きな費用が発生しますが、梱包から見直す改善では、大きな投資が必要ありません。
「今のやり方で問題はない」
そう感じていても、実は改善の余地が隠れているかもしれません。
お客様の顕在的なご要望だけでなく、ヒアリングを通じて潜在的な課題を引き出し、解決につなげることを大切にしています。気になることがあれば、どんな小さなことでも構いません。ぜひ一度、現場のお話をお聞かせください。

