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サプライチェーンの最適化に貢献した航空輸送の梱包改善

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サプライチェーンの最適化に貢献した航空輸送の梱包改善

航空輸送の基礎知識

航空機で輸出を行う際は、製品に梱包を施します。梱包材は、木箱、強化段ボール、樹脂ケースなど様々な種類があります。特に木箱梱包は高い強度と耐久性があり、従来から航空輸送で多く利用されてきました。

航空輸送では、輸送中に”壊れないこと”だけでなく、コストや法的規制など様々な要素が複雑に絡みます。その中でも「輸送コストを抑えたい」というお悩みを抱えている方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

航空輸送は、貨物専用便と旅客便の床下貨物スペース(ロワーデッキ)を利用する輸送がありますが、ロワーデッキを使用することで、輸送コストは比較的安くすることができます。航空コンテナを利用すれば、旅客便でも輸送ができ、利便性が高まります。

 

事例紹介:医療機器メーカーの輸出梱包改善

今回は、医療機器メーカーの輸出梱包を、サプライチェーン全体の視点から見直し、輸送コスト削減を実現した事例をご紹介します。

改善前

約200kgの海外出荷品に木箱梱包を施し輸出していました。既存の梱包は梱包容器が大きめで、輸送コストも高く、開梱・再梱包も重労働であり、最適な梱包仕様にしてほしいとのことでした。医療機器は緊急性が高いケースが多く、スピーディな輸送が求められることから、お客様は航空輸送を利用しています。

・木箱内にデッドスペースが発生していた。



・木箱はアッパーデッキにしか入らないサイズだったため、輸送コストがかかっていた。貨物便しか利用できないため、便の手配が難しかった。

ヒアリングからわかったこと

当初は輸送コスト削減が主な目的でしたが、さらにお客様にヒアリングを行い、輸送スキームの確認とご要望を整理しました。わかったことは、製品を保護することのみ考えられた木箱梱包だったということです。
さらに、輸出梱包に使用する木材は法的規制があり、ISPM No.15に準じた植物検疫処置を行う必要がありました。

 

また、ヒアリングのなかで、製品を輸出するお客様だけでなく、輸出先のエンドユーザーにも異なる要望があることがわかりました。

ご要望

お客様
輸送コストを抑えたい、法的制度をクリアした素材を使用したい、旅客便も利用できるようにしたい

エンドユーザー様
軽量化したい、開梱作業を容易にしてほしい(木箱は釘が打たれており、開梱時にはバールが必要)

このように、既存の梱包ではサプライチェーン全体で最適化された梱包仕様になっていないことがわかったため、お客様と、その先のエンドユーザー様の両者の最大限のメリットを考慮した梱包設計を提案することにしました。

ご提案した輸出梱包の最適化ソリューション

今回ご提案した梱包のポイントは、「内容品が壊れない」だけでなく「サプライチェーン全体を見た最適化を図る」ことにあります。
特に、輸送方法やコンテナサイズ、通関時のルール、現地での開梱作業を意識した改善を行ったことで、お客様のサプライチェーン最適化に大きく貢献することができました。

コンテナサイズに合わせた設計

設計を見直すことで、多量の緩衝材が必要だった木箱のデッドスペースを削減し、1個の航空コンテナ(LD-3)に収めることができました。
さらに、高さを150cm以下にすることで、旅客便のロワーデッキが利用できるようになり、便の手配がしやすくなったことや、輸送コストの削減につながりました。

強化ダンボールを採用

外装箱を軽量かつ強度のある強化段ボールに変更し、また、製品本体を固定するパレットを植物検疫処置が不要なLVL材と合板に変更することで、コスト削減を実現しました。

エンドユーザーまで考慮した工夫

包装材を木箱から強化段ボールに変更したことで、釘を使用せずに梱包ができるため、エンドユーザー側の開梱作業の負担軽減につながりました。
また、荷役機械を使用せずパレットへの積み下ろしが可能となるよう、スロープを同梱しました。

media-case-h12-5.jpg

設計のポイント

・木箱の1面は厚さ35mmあり、全体を覆うため、その分梱包容積が大きくなります。
旅客便が利用できる航空コンテナのサイズに収めるためには梱包容積を減らす必要があり、さらに梱包・開梱のしやすさや内容品の保護に十分な強度を持つ包装材を検討した結果、厚さ10mmで木材より軽く強度も十分な強化段ボールを選びました。

・内容品のなかでもっとも長いものは180cmあるパイプです。木箱に寝かせて梱包していたので、梱包容積が大きくなり、デッドスペースができていました。
ですが、パイプを単体で梱包し、さらに強化ダンボールの角を取って無駄を省いたことで、航空コンテナに斜めに収納することができました。

改善による効果

・木箱梱包から強化段ボール梱包に変更したことで、梱包容器重量は80%削減され、環境負荷の低減に影響を及ぼしました。
・梱包容器のサイズダウンにより、輸送コストを50%削減できました。

総合的な輸送スキームを考えた梱包がコスト削減に

航空輸送において、梱包方法を最適化するだけで、コスト・作業工数・ユーザー満足度を改善することができます。当社は、出張梱包や通関・保税・輸送・現地配達まで一貫して対応が可能です。輸出梱包の見直しをご検討のお客様は、ぜひサンリツまでご相談ください。最適な梱包設計を、サプライチェーン全体の視点からご提案します。

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