輸出梱包・海外輸送のすべて
「製品を海外で販売したいんだけど、なにか必要な手続きは?」
「輸出梱包って国内向けの梱包とは違うの?」
「保税地域って何?輸送コストを減らせるの?」
当社は、お客様からこういったご相談をよくいただきます。製品が海外に届くまでのフローや手続きはなかなか想像しにくいものだと思います。そこで今回は、輸出の現場で実際に何が起きているのか、手続きを含むプロセスの一例をご紹介します。
通しで見る輸出の流れ
当社は、梱包、輸送の仕様によるお見積りの検討、船舶、航空機の手配や包装設計を含めた準備を経て、様々な製品を輸出しています。国内・国外輸送、海外現地での輸送はそれぞれに異なるライセンスを求められるため、業者間で製品と書類をリレーしながら進めていくことも少なくありません。
代表的なフロー
①準備工程
お客様と相談しながら、業者の手配、仕様、予算などの検討により、必要な準備を行います。
②集荷
出荷指示を受け、製品を集荷します。
③梱包
輸送手段や製品の形状、質量、サイズ、防水、防湿、防錆など、必要性を加味して梱包をします。
④倉庫保管(保税蔵置場)
製品を保税蔵置場の倉庫で一時保管します。このとき、あわせて輸出申告の手続きを行います。
輸出梱包の多くは事前に包装設計をしています。仕向地や重量を見据えて強度を確保する必要があるため、準備工程から梱包までのフローは様々です。
⑤輸送
海上輸送・航空輸送で製品を運びます。
輸送時の手続きや輸送方法は、仕向地、地域、製品の種類によっても異なります。
⑥現地輸送から開梱・搬入
仕向地の輸入通関後、現地での輸送(外貨輸送・内貨輸送)を経て製品を最終目的地まで運び、開梱・搬入・据付作業等を行います。再度の輸出を経て、第三国に製品をお届けする場合もあります。
国内梱包と輸出梱包の違い
輸出は船舶や航空機を利用するため、国内に比べて輸送距離が長くなり、荷役の回数も多くなります。そのため梱包が適切でないと、製品が輸送時や荷役時の衝撃に耐えられず破損してしまうリスクがあります。輸出梱包は、最終目的地まで製品が耐えられるように、あらゆる機能を兼ね備えた適切な梱包が重要です。
輸出梱包の特徴
輸出梱包は、輸送・保管・荷役の衝撃や環境条件などの要件に耐える機能が必要です。例えば海上輸送の場合、潮風で製品が錆びないよう防錆加工を施したり、輸送時の寒暖差の結露による錆びを防ぐために防湿包装を行うことがあります。
輸出梱包の種類
製品の形状・質量・内装方法・現地までの流通条件などを考慮した上で梱包方法を決定します。
木箱梱包
製品の周囲を合板や板で覆い、製品を保護する梱包方法です。木箱は頑丈で丈夫な構造であることから、製品を安全に保護します。なかでも密閉構造は盗難防止の効果もあるため、輸出貨物の代表的な梱包方法とされています。また、温度変化や湿気への耐久性が高いです。
スチール梱包
木箱のスチール版の梱包方法の一つで、超重量大型貨物の梱包に適しています。スチールは木材の約16倍の強度があるため薄く作製ができ、全体の容積を木箱梱包より10%程度小さくすることが可能です。
パレット梱包
製品をパレットに載せて梱包する方法です。パレットの種類は様々で、木材、プラスチック、スチール、強化段ボールなどがあります。特に大量の製品を取り扱う場合や、色々な製品をまとめて輸送する際に効率的です。
スキッド梱包
複数本のスキッド(滑材)上にヘッダ・負荷材を配置して、その上に製品を載せて固定する梱包方法です。棲・側・天井をなくすことで、軽量化、簡素化が図られ、コストダウンに寄与します。ドライコンテナにバン詰めをされる貨物を想定し、内容品の質量は0.5t~20t以下とします。
輸出手続きのキーワード
輸出に関することを調べるときに立ちふさがるのが用語の壁です。いくつかの用語について詳しく説明します。
保税蔵置場とは
これは関税法が定める「保税地域」の一種です。保税地域は、法の規制により、貿易秩序維持、関税徴収の確保を図るとともに、貿易の振興及び文化の交流などに役立てることとされています。保税蔵置場は、外国貨物の蔵置が行える地域として、税関長が許可した場所です。税関長から蔵置の承認をもらってから原則2年蔵置することができ、延長も可能です。蔵置中は関税や消費税がかかりません。また、当社はAEO制度における特定保税承認者として承認されています。これにより貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整っているので、貨物を安全・安心に蔵置できます。
通関手続きとは
貨物を輸出しようとするときは、税関に輸出申告を行い、貨物につき必要な審査・検査を経て、その許可を受けなければならないと関税法で定められています。原則として貨物を保税地域に搬入したあと行われる一連の手続きを輸出通関手続きといいます。輸出通関手続きは、貨物の輸出者が、その申告にかかる貨物を入れる保税地域を管轄する税関に対して行いますが、貨物の輸出者から委任を受けて、通関業者が代理申告をすることもできます。申告を行う際には、貨物の品名、数量などを記載した書類や、貨物の内容がわかる書類などが必要となります。また、関税法以外の法令で許可、承認等の輸出規制が行われている貨物を輸出する際には、事前に当該許可・承認書等も提出する必要があります。これらの書類内容を精査し、税関が必要な審査・検査を行い、問題がなければ正式な輸出許可となります。
外貨輸送とは
外貨、内貨はそれぞれ外国貨物、内国貨物の略です。保税区を活用した輸送を検討する際に、これらの言葉がよく登場します。本邦に到着した貨物は、一旦は保税地域に留め置かれます。このとき、貨物は入国していない扱いとなり、承認等なしに輸送することができません。輸入通関での検査・審査が行われ、正式に許可された貨物が、内国貨物として輸送ができるようになります。一方、輸出貨物においては、外国貨物となった貨物を、保税地域から船積み等の為にその他の保税地域へと外国貨物の状態を維持したまま輸送します。
サンリツの輸出サービス
当社では、輸出の際に必要なライセンスを自社・協力会社内で揃えているため、準備工程から現地輸送までを一貫してお引き受けできます。現地側の輸送会社に受け渡すケースもありますが、弊社では中国や米国の内陸輸送ライセンスも有しているため、多くの場合、現地輸送から開梱・搬入・据付まで一貫で行います。輸出梱包、海外輸送の多彩なソリューションをご提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。